こんにちは!ケアステ編集部です。
精神障がい者グループホームで実務経験を積みながら、「介護福祉士」取得を目指す『岡田のおばちゃん』による連載ブログの第2回。
楽しいことが大好きで、入居者さんへの愛情たっぷりの彼女ならではの視点と言葉で、グループホームでの日常の出来事や介護のお仕事の実体験をお伝えしていきます。
精神障がい者グループホームは、毎日がワクワクのアトラクション
楽しくて嬉しくて幸せすぎ。
第2回 「マイペース」
おはよう、エミさん。
エミさん(仮名)は、私が出勤してくると
「わたし今日、お風呂やけど、岡田さん、入れてくれんの?」と聞いてくる。
私よりひとつ年上の彼女は、あらかた何でも一人でできるのに、すごく心配症で、何かある度に、確認される。
「いいですよ。掃除終わってからやったら、いつでもいいから、お風呂入る準備しといてくださいね」
と言うと、自分の部屋に入って行かれた。
私は、お風呂のスイッチを入れてから階段、床、各部屋、ダイニング、キッチンの掃除を終えて
「もう準備できた?」
とエミさんの部屋に行くと
「岡田さん、何したらいい?」
と、ベッドに座って上目遣いでこちらを見ておられた。
「いつものお風呂の用意やけど…替えの下着と洗濯物持って来て下さいね」
と言ったら
「どれがいいかわからへん。岡田さんが選んでよ」
とイライラされた。
「ご自分の好きなのを選んでいいですよ」
と、言うとやっと引き出しを開けて選び始められた。
この間、ずっと見てないと手が止まってしまうので、時間がかかるからと言って他のことはできない。1分経ち…2分経ちやっと
「これにしてもいい?」
と、おっしゃるので
「いいですよ」
と言ったら
「やっぱりこれにするわ」
と、やっとこさ選んだ下着を持って出てこられたが、洗濯物のカゴを指さして
「岡田さん、あれ持って来て」
と、おっしゃった。
「ご自分で持って来て下さいね」と言うと「持てない」とおっしゃる。
どんなことでも、できることは時間がかかっても、ご自分でしてもらうようにお伝えしている。
「エミさん、自分で持って来て下さい。そんな重いもんじゃないでしょ。」
「こっちの手は、下着で塞がってんねん」
「じゃあ、もう一つの手が空いてるでしょ。」
この長めのやり取りで、少し不穏な空気が漂ったのか、フロアにおられたアキさんとジュンさん(仮名)が、私たちをじっと見守っておられた。
やり取りに疲れた私が、エミさんを部屋に残してお風呂場に行こうとすると、エミさんがボソッと
「岡田さんてマイペースやなぁ」
と呆れたようにおっしゃった。
その時、普段はおとなしいアキさんが、ふふふっと笑って
「どっちがやねん」
と言って下さったおかげで、エミさんは
「ほんまにマイペースやわ」
と言いながら、洗濯カゴを持ってお風呂場に向かって来られた。
つづく・・・