こんにちは!ケアステ編集部です。
精神障がい者グループホームで実務経験を積みながら、「介護福祉士」取得を目指す『岡田のおばちゃん』による連載ブログの第10回。
楽しいことが大好きで、入居者さんへの愛情たっぷりの彼女ならではの視点と言葉で、グループホームでの日常の出来事や介護のお仕事の実体験をお伝えしていきます。
今回は、謙虚な百合さんのお話です。
精神障がい者グループホームは
毎日がワクワクのアトラクション
楽しくて嬉しくて幸せすぎ。
第10回 「謙虚でおとなしい百合さんのこと」
百合さんは控えめな利用者さんで、ご自分から何かをお話されることは殆どなく、いつも黙ってダイニングで、テレビを見ておられる。
唯一、お茶が欲しい時だけ、「お茶、いいですか?」と聞いてこられる。
百合さん、お風呂の用意が出来たので、お風呂入ってくださいと言うと必ず
「お風呂?いいですわ。今日は、いいですわ」
と言われるので、そんな遠慮されなくても準備も出来ましたし、お洋服用意しましょかという会話を3回くらい繰り返すと、やっと「そうですか」と準備をされる。
ある日、他の利用者さんたちから、ふりかけやバナナを買って来て欲しいと言われたので、百合さんにも何か要る物があれば買って来ますよとお尋ねしたところ、やはり「何もないです。要らないのでいいですわ」と言われた。
そんなある日、女性の階だけで、塗り絵をすることになった。
大人の塗り絵を数枚コピーして、色鉛筆を真ん中に置いてエミさん、アキさん、ジュンさんが取り掛かり始めたので、百合さんにも塗ってみて下さいねと言ったところ案の定「いいですわ。私、しません」と言われた。
まぁそう言わんと一回やってみて下さいと、何度もお願いしたところ「下手やから私、塗り絵、好きじゃないし」と言いながら塗り始められた。
十数分後、終わった作品を見てみんなびっくり!
10個あったお花の一つ一つが、みんな違うセンスのいい色の組み合わせで、線から全くはみ出さず塗れていた。
百合さんすごい!素敵です!
百合さんは、照れたように「そうですか、私、下手やから。まぐれやわ」としきりに謙遜されていたが、今まで見たこともない笑顔で満足そうにしておられた。
百合さんの知らなかった才能を引き出せた事と、変わり映えのない毎日の中で、ひと時でも満足感を感じてもらえたことが、良かったと思った。